レシタティフ

〈I am I am I am〉
トニ・モリスン 著 篠森ゆりこ 訳
四六判並製 128頁
定価:2,090円(本体1,900円)
978-4-7949-8035-9 C0097 〔2025年12月19日発売予定〕


アマゾンで購入する
楽天ブックスで購入する
セブンネットで購入する

 

読者の心を否応なしに暴く――
ノーベル賞作家、トニ・モリスンが
唯一書き残した実験小説

彼女が「レシタティフ」を「実験」だと言うなら、本気でそれを意図しているのだ。その実験の被験者は読者である――

施設で同室になったトワイラとロバータは、白人と黒人の二人組で「塩と胡椒」と呼ばれていた。月日が経ち、二人はダイナー、スーパー、デモ集会、レストランで四度再会する。二人が共有する記憶と彼女たちについて、何が正しいのだろうか? ノーベル文学賞作家、トニ・モリスンが唯一書き残した実験小説。解説:ゼイディー・スミス

大好評「I am I am I am」シリーズ第五弾。

二人の少女はこの世の誰も知らないことを知ってた――質問をしないこと。信じなきゃいけないことは信じること。
ずけずけと訊かずに広い心で接するのは、気遣いでもあった。
あなたのお母さんも病気? ううん、一晩中踊ってるの。
ふうん――そして、わかった、といううなずき。(本文より)

********************

<「I am I am I am」シリーズ>
物語を読むことで、今まで見過ごされていた声に触れる海外文学選書シリーズ。「手に取りにくい・堅い・難しそう」じゃない、初めて海外文学を手に取る方にもおすすめできるシリーズです。

********************

────────────────────────

【目次】

レシタティフ

「実はあの中にちゃんとした人間がいた」ゼイディー・スミス

訳者あとがき

 

◇トニ・モリスン(Toni Morrison)
1931-2019年。作家。米国オハイオ州ロレイン生まれ。ハワード大学を卒業後、1955年にコーネル大学にて英文学修士号を取得。出版社で編集者として働きながら執筆を始め、1970年に『青い眼がほしい』を発表。その後、『スーラ』『ソロモンの歌』『タール・ベイビー』など次々と代表作を世に送り出す。1987年に『ビラヴド』を刊行、翌年ピュリツァー賞受賞。1993年には有色人種の女性として初めてノーベル文学賞を受賞した。
◇篠森ゆりこ(しのもり・ゆりこ)
翻訳家。訳書にイーユン・リー『千年の祈り』『さすらう者たち』『黄金の少年、エメラルドの少女』『独りでいるより優しくて』『理由のない場所』『ガチョウの本』『水曜生まれの子』、クリス・アンダーソン『ロングテール』、マリリン・ロビンソン『ハウスキーピング』など。著書に『ハリエット・タブマン──彼女の言葉でたどる生涯』。
◇ゼイディー・スミス(Zadie Smith)
1975年、ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学在学中に執筆活動を始める。2000年に『ホワイト・ティース』を発表し、ベストセラーに。ウィットブレッド賞処女長篇小説賞、ガーディアン新人賞、英国図書賞新人賞、コモンウェルス作家賞最優秀新人賞などを受賞。著作に長編小説『美について』(ブッカー賞最終候補、オレンジ賞受賞)、エッセイ集『Feel Free』(全米批評家協会賞受賞)などがある。